村崎野大乗神楽 小山の神
本日は村崎野大乗神楽さんの「小山の神」についてです。
村崎野大乗神楽さんの由来については一昨日に紹介したのでr省略します。
ところで大乗神楽の胴ですが、締太鼓のサイズといい、撥の形状(両端が独鈷杵の形)といい早池峰系の山伏神楽そのものです。
しかしながら、大乗神楽はそのルーツを宮城県の箟岳箟峯寺としているから法印神楽の流れとしています。
法印神楽での胴は宮太鼓が1台もしくは2台となっているので、この辺が伝播経路の中での芸能の変遷、あるいは信仰上の価値観を神楽に表現した中での創編の成果かもしれません。
さて、演目の小山の神ですが、大乗神楽の三十三番にはないのですが、「岩手の民俗芸能 山伏神楽編 大乗神楽」の項には「煤孫の貴徳院法印神楽組のプリントでは、「舞の種類」」としてニ三番に小山神として載っているとのことです。
山伏神楽での小山の神は表舞の山の神に対して、裏舞の番組として組まれていることが有り、道化が入ったものになっています。
大乗神楽での小山の神は正に「山の神」の姿をしています。
信仰上の山の神の偶像では両手に太刀と鉞を持っている姿をしていますが、この舞の採り物も正に山の神そのものです。
そして、修行のため山野を徒渉するために、草や木立を鉞で薙ぎ払い、立ち塞がる邪気や魔物を太刀で討ち祓う様を舞に表現しています。
神に神楽を捧げる社人神楽と違い、山伏修験の神楽は自らが神仏の権化となって様々な障碍を消除させることを明らかにすることに重きをおいているような気がします。
それは神楽を見る者に絶大な説得力を持って提示される信仰であると思います。ここに神楽の真骨頂があるのだと。
舞の最後は印を結んで祓います。
動画でどうぞ。
