蓬田神楽 三熊大人退治 @一関民俗芸能祭
さて、本日は蓬田神楽さんの三熊大人退治についてです。
その前に蓬田神楽の由来について定本より
「舞草神社は一時期舞草穴倉地内に社地があった頃、神職が大権院神楽を奉納していた。
当時の神楽の師匠は、穴の倉の佐藤円吉、次いで蓬田大助であった。
明治初期、蓬田一族の氏神天神様に神楽を奉納するため、蓬田大助が庭元となり、東磐井郡長島村南部神楽の流れをくむ赤伏神楽の指導を受け、蓬田神楽を創設した。
初代庭元蓬田大助、二代伊藤寅之助、三代蓬田清吉、四代佐藤松治、五代蓬田稔である。」
とありますが、現在の代表は伊東一さんで、この日もビシッと胴を取っておられました。
ところで、胴取りさんの手前のかわいい金摺りさんは、小学2年生のキラリちゃんです。
お父さんが神楽に入門したことをきっかけにして金摺りを練習してこの日に臨みました。
この日は例によって客席のおばさまたちから沢山のお花とお菓子が上げられ、盛り上げ方に一役かっていました。
演目の三熊大人退治は南部神楽諸団体でも台本内容が少しずつ違ってはいますが、大筋では天照大御神が治める国の一部悪業を働くものがいるので臣下に命じて退治させるという内容です。ともあれ、最近ではなかなか上演される機会が少なくなってきている演目ですので、ぜひじっくりとご鑑賞ください。
しかし、この話は少々込み入った話である上に登場人物も様々ですが、このことは後段で述べます。
最初に責めの太鼓で三熊大人が現れます。荒面がすばらしいですね。
さて、悪業をなした三熊大人でしたが、天照大御神に封じ込められ、一度は約束手形を証文におとなしくしていました。
しかし、磐長姫に化身してその証文をうち隠したため再び豊葦原の中津国を暴れ回り、毒気をまいて人民を悩ませることになります。(三熊大人の災いは疫病ということになっているようです)
そして、そこへ三熊大人の眷属(家来)が現れ騒がしくします。
って、このへんを刀くぐり等で表現していますが、実はこの三熊大人という演目は法印神楽での魔王神璽に相応しているようです。
法印神楽では先にツケが出、次に魔王責め、続いて魔民(鬼)が出て面白おかしく踊る・・・というものです。
南部神楽では、次に素戔嗚尊ととその臣下である天若彦とワニカゼが出て八雲立つの調子でネリます。
ところで、登場人物の中でもワタシ的に謎なのは「ワニカゼ」という人物(?)です。神台本によっては鰐風とも和仁風とも書かれていますが、
「ワニ」が何を指し示すのか、種々思い巡らすばかりですが・・・
とにかく、素戔嗚尊以下が三熊大人らを退治するわけです。
そして、最後に素戔嗚尊は三熊大人以下の魔民どもに、二度と悪行をなさぬよう手形証文を押させます。
これが我が国の約束手形の発祥と言われています。
動画でどうぞ。
