川東神楽 恋塚物語・愁嘆の場 @ころもがわ神楽まつり
さて本日は、第25回ころもがわ神楽まつりから、川東神楽さんの 恋塚物語 第三場・愁嘆の場 というものです。
さて、恋塚物語ですが、創作神楽とはいえ原作が浄瑠璃や源平盛衰記に元をひくドラマチックな内容となっています。
物語は、平安時代後期の京都が舞台。
御所を守る北面の武士であった遠藤盛遠のちの文覚上人が主人公です。
彼には叔母がおり奥州衣川に嫁いで一人娘を産み、後に京都へ戻ってきます。
その娘は名前を吾妻といい、非常に美しい娘と都で評判になっていた。
吾妻さんです 浄瑠璃人形さながらです
遠藤盛遠は、その吾妻の噂を聞いて叔母に吾妻を妻にと願い出たがつれない返事だった。
そればかりか、叔母は吾妻を渡辺亘(盛遠の上司)の妻にし、名を衣川に因んで袈裟御前と改めさせます。
渡辺亘さん
諦めきれない盛遠は、袈裟御前になおも執拗に自分の妻になるようにと迫ります。
困り果てた袈裟御前は、自分を妻にしたいのなら、夫の亘を殺してくださいと、次の日の晩に夫の寝所に討ち入るようにと手引をします。
袈裟御前は夫に酒を飲ませて盛遠が来るのを待ちます。
渡辺亘の寝所へと侵入した盛遠は、暗闇の中で亘の首を掻き切り、首を抱えて屋敷を出ます。
月の明かりに首を照らして仰天する盛遠。そこには愛しい袈裟御前の首があるばかり。
愛する夫を守るため、自らの命を投げ打って操を守ったというこの物語は、鶴屋南北の通し狂言「貞操花鳥羽恋塚」として有名を馳せた演目でもあります。
南部神楽の台本では、罪を償うため、袈裟御前の首を衣川の地に葬り、自ら出家して諸国修行の旅に出て、やがて文覚上人という高僧となったという結末になっています。
まさに、衣川の地で演じられるに相応しい演目だと思います。
動画でどうぞ。
