衣川四団体合同神楽 道化「景気回復大明神」
さて本日は第25回ころもがわ神楽まつりから、衣川四団体合同の演目である道化「景気回復大明神」についてです。
この日は、丁度昼食時の休憩時間にあたった時間で、昔の神楽のお中入りといった風情でした。
道化ですからもちろん滑稽な内容の神楽です。
台本はどなたが書いたものかと聞きましたら、主役の景気回復大明神を演じている松好さんということでした。
名作です!
最近では神楽の道化を上演してくださる団体が少なくなってきています。
昔の神楽の上演形態は、昼神楽があって、夕食を取り、その後に近隣の集落から神楽を見に集まってきて神楽を楽しむというのが一般的でした。神楽の最初は式舞や神舞があり、その後に仕組といわれる劇舞がはじまり、数番するとお仲入りということで道化が演じられたものです。
ですので、この道化も神楽本にあるばかりでも数十を数える台本があり、観衆の楽しみでも在ったと思われます。
ところが、戦後もしばらくすると、神楽も神事芸能なのだからと、あまりくだけた内容のものは敬遠されるようになり道化が舞台から遠ざけられてきたように思います。
しかし、もともと神事芸能であるにせよ庶民の楽しみの芸能であるにせよ、古来から求められてきたものに蓋をするのはいかがなものか。
例え滑稽な形をとっているにせよ、そこには五穀豊穣への願いがあったり、子孫繁栄の切実な悩みがあったり、庶民の恨みつらみの腹いせが込められていたりすることを深く思慮すべきである。
などと、つまらぬことを述べましたが、そんなことを吹き飛ばすくらい大盛り上がりの道化ッコでした。
演目は景気回復大明神というわけで、庶民の願いは暮らし向きが良くなるように、自分に銭ッコがいっぱい入るようにという願いをこめた神楽です。
アベノミクスといわれでっけど、消費税はあがるし物価は上がるし、さっぱりイイごどね!と嘆いた景気回復大明神が胴取りと掛け合いしたのちに、自分自身が神様となって道端に鎮座するとこから始まります。
するとそこへ、道化の太鼓拍子にのって村人が出てきます。
「私にだけでもいいがら、ひとつ百万円だけでもお願いします」
と拝むと、何と大明神はお札を繰り出します。
すると、次に噂を聞きつけた村の女房が子供を連れて願掛けにきます。
「衣川から前沢ジャスコに来て、子供たちにマクドナルド食わせるべて、サンクスでお金降ろすべとカード入れたら残高ゼロ。」困ったなと思ったら、衣川から来た人が一杯お金持ってたから、何したのって聞いたら、景気回復大明神のご利益だと聞いた。
そこで藪を掻き分けて大明神を探し当てに来た親子は祈願をするのでした。
一心に祈願をすると、児童手当のお金やお菓子、それにパンパ―スまでも授かったのでありがたく受け取りました。
さらに、こんなにご利益のある神様を藪の中に置くのももったいないからと、開けた街道に移すことになったという次第の物語。(劇中に様々な地名が出てきますが、これを知らないとおもしろみが半減するかもしれませんが、ご容赦を)
動画でどうぞ。
