大崎八幡の能神楽 四天
さて、本日は大崎八幡の能神楽の四天についてです。
四天という演目は、他の法印神楽では両天、三天と同様に四人で刀舞をする内容ですが、大崎八幡宮のはいわゆる土用の縁起を筋書きとするものになっているようです。しかしながら「奉奏神秘御神楽和歌指南抄」では廃曲となっているものの中に「盤五」がある。これは浅部法印神楽等では土用縁起の内容なので、同じ演目が2つ存在するということになってしまうが、元の姿がどうであったかは不明のようです。
尚、山伏神楽や南部神楽では五大領(五大龍)、所望分、四季分などと呼ぶ同曲があります。
最初に五行色の狩衣を着たものが四人出て「くよう」の舞をする。
次に御幣と鈴を持って舞い、それが終わると舞台の四隅に座る。
すると後見が二人で黄色の小袖を懸けたものを舞台中央に置く。これで正に五行(木・火・土・金・水)が治まった形になる。
そこへ、赤い金剛棒を持った大王が現れて、言い立てをする
「おう 我こそは誠は たのかの明神
おーすに押されず 引くに引かれず ああ おそろしや
是より はにやまひめ を取り出す」
大王が小袖を剥ぎ取ると中から天冠をつけ赤い狩衣指貫を着た姫面のものが現れる。
これは言い立てのとおり埴安姫であり、鈴と扇で一舞して退場する。
最後に四人が五請楽を踏みながら幕に入る。
本田安次氏は陸前浜の法印神楽の中で「所望分のこれは希古なる型である」と評している。誠にそのとおり、古態を残した意味深い舞だと思う。
動画でどうぞ。
