白浜神楽 着ぐるみの大蛇退治
さて、本日はいわい地方民俗芸能祭のトリをつとめました、白浜神楽さんの八岐の大蛇退治についてです。
神楽が始まる前に白浜神楽の千葉会長さんに、演目の大蛇退治について「吊るしですか、それとも蛇面コが暴れるのすか?」と聞きましたら「大っきな大蛇が出るのす。」ということでした。
さて、その前に白浜神楽さんの由来について
「昭和45年1月、栗原善三が庭元となり、宮城県栗原郡栗駒町、栗駒神楽佐藤佐吉師匠と花泉町大門神楽の菅原誠師匠の指導のもとに、白浜神楽を創設した。
初代庭元栗原善三で現在に至っている。」
とありますが、現在の代表は千葉良夫さんです。
この日の銅も繁年さんです。メリハリの効いた胴が会長さんの舞にピタリとはまります。
さて、物語は手名椎足名椎という老夫婦に八人の娘がおりましたが、出雲の国の斐伊川上流に棲まう大蛇に人身御供として取られ、最後の稲田姫の順となりました。
さあ、このあたりから舞台袖で何やらチョロチョロする大きな影が見えてきます。
会場からはクスクスと笑い声がします。何かと見れば着ぐるみの大蛇が顔を出しています。気になるなぁ
さて、手名椎足名椎が娘の稲田姫を差し出すのを躊躇していると道化面の村人が、お国のお達しで娘を連れて来いと言われたので稲田姫を連れに来た。さっさとこちらに寄こせと迫ります。
ところで、八岐大蛇に道化がつくのは一関周辺の神楽では共通事項となっています。しかし、神楽台本での呼び方は「村民」とか「庶民」という言葉で書き付けられています。
これが、胆沢神楽(奥州市胆沢区方面)の神楽本では「蘇民将来」と表記され、大蛇を退治する素戔嗚尊が一時身を寄せて大蛇退治の秘策を練ったことになっています。おもしろいですね。
そして、素戔嗚尊と八岐大蛇の戦闘になります。
この日の大蛇は大きな蛇糖に蛇腹の胴体を付けた着ぐるみの大蛇です。
千葉会長さんが言うには「宝くじから助成金が付くと聞いたが何を整備するか考えた。面コや衣装なら自前でも揃えられる。ここは思い切って後々まで残るものを」という考えで、島根県は石見神楽関係から大蛇の着ぐるみを購入することを決めたということです。
この蛇体は、西日本の神楽(備前、備中、石見の神楽等)では普通に使われております。
しかし、宮城岩手でもかなり早い時期からこの蛇体を使っていたようです。
次の写真は村上護郎氏の「南部神楽」の中の写真を転載したものですが、江刺の川内神楽や宮城県鶯沢町の鶯沢神楽で行なわれていた様子です。
そして、素戔嗚尊は大奮闘の末に八岐大蛇を見事退治して凱旋します。
最後の決めゼリフは「何の疑いあろうかやのう!」
動画でどうぞ。
