皿貝法印神楽 産屋 @石巻神楽大会
本日は、第37回石巻桃生牡鹿地方神楽大会から皿貝法印神楽さんの産屋についてです。
その前に、皿貝法印神楽さんの由来について宮城県の民俗芸能1より
「この神楽の由緒によると元和2(1616)年8月、皿貝の修験成就院(本山派)9代久峰重光が京都聖謹院宮入峰の砌り、能を修得し古事記を基として神楽を編み出したものと伝えているが、これは明らかに誰かが権威づけに由来譚を作ったものである。皿貝の法印神楽が何時どこから伝承したものかは不明であるが、桃生十法印のうちに皿貝の中島に良泉院があり、そことの関係があったかも知れない。明治以降に一時廃れかけたが、姫舞を樫崎の榊田法印から、荒舞を橋浦の女川村高橋法印から習得したともいわれる。現在の舞型を見ると桃生神楽系と思料される。神楽本は写本であるが、古い修験文書は現大日孁神社にて所蔵している。
古面が25面、新作とみられるもの6面がある。
皿貝組から他に相伝した神楽組は河北町福地と河南町鹿又といっている。皿貝の伝承者は12人、うち青年は3人であるが全体的に壮年層である。古老からも伝習をしている。現在直ちに演舞できるもの15演目である。
「白露」は陰陽どちらかの舞人に障りあるといって忌み、「荒神」も忌曲としている。
舞台の特色として舞台後方に一段高く楽座を設けている。もとは2尺ほども高くしていたというが、現在でも5寸以上は段を付けていて広さは半間に2間である。本山派であるので胴1つに笛が2管を基準としている。舞台の組材は総桧としている。次の神社祭礼を主として他の招請にも応じている。
旧6 月1 5 日夜 皿貝 大日孁神社
9 月9 日 北上町本地 鹿島神社
旧9月25日 河北町馬鞍 天神社」
とのことです。現代表は佐藤秀平さんです。
さて、演目の産屋は法印神楽の特に夜神楽では人気の演目で、上演中はご婦人方から「子供離すなよ!」などと声援がかかったりする。
神楽は、今で言えばテレビドラマのようなもので、視聴者が感情移入すれば大当たりという訳である。
天孫邇邇藝命と木花咲耶姫の間に生まれた彦火火出見命=山幸彦が、紛失した兄海幸山幸の釣り針を探しに竜宮に渡ります。
そこで豊玉姫命と出会い夫婦となりますが、出産に際して産屋を覗くなと告げられます。
しかし、彦火火出見命はつい産屋を覗いてしまいます。
すると、産屋にいたのはおどろおどろしい龍神の姿をした姫が王子を出産しているのでした。
我が子を出産した豊玉姫命でしたが、夫の彦火火出見命に真の姿を見られてしまった以上は子を置いて竜宮へ帰らねばなりません。
子を置いた豊玉姫命=龍神は彦火火出見命に追われる身となります。
法印神楽本来の神楽舞台であれば、彦火火出見命と豊玉姫命に化けた竜神がところ狭しと暴れまわり、それを囃し立てるのが観衆の楽しみでもあります。
動画でどうぞ。
