太神楽と神楽芝居
本当は山伏系神楽の本を買うつもりで古本サイトでミスオーダーして手に入れた1冊の本。
著者は水戸大神楽の15代家元である柳貴家勝蔵である。
本のタイトルは「日本大神楽事典」・・・「大」の文字がなければなぁ、と思いつつ読み始めたらこれが意外におもしろい。
太神楽というと伊勢神楽から全国へ派生した獅子回しと曲芸だけの芸能と思っていたらさにあらず。
著者によると日本の太神楽は大きくわけると、神事芸能の色濃い伊勢神楽、華やかに風流化した江戸神楽、両者を併せ持った水戸神楽が主流であるという。
文字通り、獅子頭を奉じて悪魔祓いをして門付けをするのが本地であるが、余芸として玉回しや撥回し、曲乗りや籠立てなどの曲芸を発展させ、次第に辻立ちや見世物小屋での演芸と化したものもある。
と、そこまでは私が太神楽に抱いていた、「そういう芸能」だったのだが、この事典にはその他のことも書いてある。
特筆したいのが「神楽芝居」という文字通り獅子回しの間に、まるで「アイの狂言」のように演じられる演目があるのだという。
この本から拾ってみると。
茶番ものがたくさんありますが、歌舞伎などから来ていると思われる演目がたたあるようです。
石童丸、勧進帳、川中島の合戦、源三位頼政、塩原太助、須磨の浦、忠臣蔵五段目(山崎街道の場) などなど
なんだか、一度現地で見てみたくなりました。
因みに、あしたのジョーの主題歌を歌っていた尾藤イサオは鏡味鉄太郎という名の江戸大神楽師だったそうです。(ちょっとだけトリビア)
