和賀大乗神楽 正足 @ 第14回慶昌寺神楽公演
さて、本日は和賀大乗神楽さんの正足です。
正足は浜神楽や流神楽にも演じられている演目ですが、それぞれ多少の違いがあります。
そして、仙台の大崎八幡宮の神楽本には将足(ひょうそく)として表れていて腰に刀、背中に幣束を差して舞い、最後は二本剣で舞う。
また、薬莱山の三輪流神楽の神楽秘伝鈔には正作としてあり太玉命の舞となっていて、やはり腰に幣束を挿して舞い、最後は両剣で御神楽四方掛かりで舞い納めるとある。
そして、大乗神楽では背中に鉾を挿して幕より出て早拍子で舞います。舞の手は魔王と同じとありますが、スピード感がある点で魔王より一層鬼気迫るスリリングな舞となっています。
この日、正足を舞ったのは若手中の若手である中学2年製の鈴木ともひろ君。
和賀大乗神楽の代表のご長男でもあります。大乗神楽さんの神楽公演が4年ぶりだったこともあり、この日が本格的なデビューということかもしれません。とにかく「すごい!」の一言でした。
彼の父親である現代表の鈴木俊逸さんが、かつて「ダダスコ」の中に寄稿した文中では
「祖父(鈴木秋尾)から初めて舞の手ほどきを受けたのは小学3年生で権現舞であった。そして小学高学年になると山の神(魔王)を習い始めた、舞の手を覚えるのはさほどかからないが、身のこなしなど細かい所は「盗んで学べ」と教えられた。そして榊舞を伝授されたのが高校生の時で、この舞だけは伝授する相手を選ぶといわれたが演目の中で最も長く、肉体的にも精神的にも高いレベルが必要とされる」
と述懐しておられた。
そしてこのご長男もこの日は正足・龍殿・権現舞を披露した。
彼が榊を舞う日を楽しみに思うのは私だけではあるまい。
舞納めには、鉾と刀と鞘を卍型において印を結んだ。
悪魔がすっかりと薙ぎ払われた気がする、そんな神々しい正足舞でした。
動画でどうぞ。
