和賀大乗神楽 鐘巻@ 第14回慶昌寺神楽公演
本日は和賀大乗神楽さんの鐘巻です。
鐘巻は法印神楽の演目には無く、山伏神楽からひく演目となっている。
ちなみに、陸前浜の法印神楽になくて大乗神楽にあるものは、蕨折、棟上、地割、帝童、薬師、榊、天王等となっている。
故に、この演目は山伏神楽からの伝承であり、南部神楽団体の中でも山伏系統の出自である所では神台本に残っているわけである。(現在では宮城県古川の保柳神楽などが上演している)
幕出し歌は 〽 ようよう急ぎゆくほどに 鐘巻寺に着きにけり
この後の胴の拍子と歌は法印神楽の流儀同様に舞手の手次を歌詞として歌っている
上臈が鐘巻寺に詣ろうとして別当に許しを請うがここは女の詣らぬ寺だと断られる
この寺には五つの不思議がある。
男詣れど女詣らず、雄鶏通えど雌鳥通わず、男鹿詣れども女鹿詣らず、男木立てども女木立たず、枯れ木に花は咲けども実のなることなしという。これは五つの不思議に候ほどに、御ん帰り候らえ。
〽 ノウ 秋の夜に いかなる因果の報いきて 女と生まれなきことよ
男百日の行にても詣れども 女の身なれば 千日の行にても詣れなく
何の愚かなことに候よし
胴のながし歌につれて上臈が鐘の綱をとって身に巻きつけて物狂いの舞となり、一舞して幕に入ります
次いで幕から癋面の客僧が現れ、道化の問答を始めます。高橋さんの軽妙な道化話術に皆さん引きこまれます。
ところで、錫杖をふりながら喋る道化話ですが、よく聞いていると「ちょぼくれ」の詞章のようです。
それから「今の浮世は逆さまで 石が流れて木の葉が沈む、ビッキ蛇取り、蛇猫取るよ、猫は犬取り、犬ネズミとるよ これも当座のお笑い草よ」 これは、いわゆる早物語ですね。「真ん中づくし」も語り、「ないものづくし」も語りました。
こういった「ちょぼくれ」や「早物語」は浄瑠璃語りや祭文語り等の座敷芸で演目の合間に付き人などが幕間の出し物として行ってきたものが大衆芸能として浸透したものです。
蛇面を被り鱗模様の浴衣で上臈の化身が現れ、山伏に襲いかかります。
うき笛を鳴らしながら戦いますが、ついに山伏に折伏されます。
動画でどうぞ。
