城生野神楽 一の谷首取りの場@ 第35回志波姫神楽鑑賞会
本日は志波姫神楽鑑賞会から城生野神楽さんの一の谷首取りの場です。
その前に、城生野神楽さんの由来について
「嘉永年間(一八四八)富野城生野の富助が岩手県西磐井郡萩荘村市野々、自鏡山の山伏神楽を習得した。後部落の若者達に指導して城生野神楽を創設した。
以来城生野神楽は、山伏神楽の正統を保っているので宮城県北の神楽の総元締である。
初代庭元千葉幸之進、現在の庭元加藤義勝は五代目である。
昭和三六年一一月、築館町の無形文化財に指定されている。」
とあります。
さて、演目の一の谷首取りの場ですが、他の神楽組と若干異にする構成になっています。
熊谷次郎直実が冒頭に登場し、敦盛を逃したことを平山武者に糾弾される所からはじまります。
平家方の武将を逃すのは平家方に二心あるに違いないと責められ熊谷次郎直実は浜辺で波の彼方を眺めます。
ここの神台がいいですね。
〽 渚に立ったる熊谷よ 敦盛君になんと言い訳せんよな~
敦盛君よ お戻り給え 今一度
と敦盛を呼び戻します。すると幕から敦盛が和歌を吟じながら出てきます。
〽 ほのぼのと明石の浦の朝霧に 島隠れゆく舟をしぞ思う
これは古今和歌集のうちの読人しらずの一首ですが古来より人気があり歌い継がれた名歌です。
そして、一の谷からは明石の浦が見渡せるため、この場面での神楽歌としても絶好の取り合わせとなっています。
そして、敦盛の首を取るにあたって、浄土での往生を願う熊谷次郎直実の念仏が入ります。これも城生野神楽独特のものです。
自らの不手際で若輩の敦盛の首を討ったことを後悔した熊谷次郎直実は敦盛の菩提を弔うため武士を捨てて出家する覚悟をします。
動画でどうぞ。
