石鳩岡神楽 奏楽~鶏舞@ 石鳩岡神楽交流会
今日はいよいよ冬将軍来たりといった天気になった。吹雪の中を帰ってきたものの明日の朝は凍結が心配だ。
山の神の年取りの日でもある。日一日と年越しへ向かいつつある。
そんなわけですが、今日からは12月8日に行われました、石鳩岡神楽交流会の様子をお伝えします。
石鳩岡神楽さんの由来については、当日のプログラムより
「石鳩岡神楽とは岩手県花巻市東和町石鳩岡に伝わる山伏神楽のことである。天保五年(1834)、早池峰岳神楽の小
国常盤守より伝授、独立免許されたものである。以来170余年その間には火災による道具の焼失、あるいは座中の
欠員等、幾多の危機に遭遇するも、師匠岳神楽と同一に舞える古い舞技を伝えている。そのため。南部家の家紋の
双鶴の紋章を幕類装束等―切に使用することを許され、併せて木杯を賜り以来毎年南部家の祭神桜山神社の専属神楽として例大祭に神楽を奉納している。また、早池峰神社から神楽の存続に対する功績により表彰されている。昭和58年 ∃一ロッパ芸術協議会による、日本特集芸術祭に国際交流基金の派遣団体のうちに選ばれ渡欧―ヶ月にわたり六ヶ国公演する。平成23年3月 国の記録作成等の措置を講ずべき無形文化財に選択される。」
とあります。
岳神楽の流れをくみながら、多くの周辺神楽にも影響をあたえ、弟子神楽である遠野市の平倉神楽と北上市の綾内神楽とともに舞を競うのがこの交流会です。昨年は都合により開催できませんでしたが、以前はこの日の会場である東和総合福祉センターの向いにある古民家「雲龍庵」で古式ゆかしく神楽が上演されていて私も何度か足を運んでおりました。
久しぶりに山伏神楽にどっぷりと浸かった一日でした。
上演に先立ち、奏楽 打ち鳴らしが行われますが、その前に師匠たちによる太鼓の調べ綱を締めるという作法が行われました。
幕前の祭壇に権現様とお供え物がのせられて、打ち鳴らしとなります。
これかれら神楽が始まるとう緊張感と期待で場内も引き締まってくる感じがします。
ことにこの日の舞台はステージの上ではなく、フロアに忌竹を回して、三方から神楽が間近で見られるようにとの配慮がなされていました。神楽好きにはたまらない演出です。
さて、打ち鳴らしに続いて、最初の演目は式六舞の鶏舞となるわけですが、この日は会長さんのお孫さん兄弟による若々しい舞でした。
「鶏舞は「伊弉冉尊・伊弉諾尊・天宇受売命・思兼命の四種を想像したる舞にて四人にて舞いたるもの、今は略して二人にて舞うなり」と岳神楽の台本には書いてある」と岩手の民俗芸能山伏神楽編の中で森口多里が引いているとおり、今の早池峰神楽で鶏舞は二人舞となっているが、遠野市の神人神楽などでは四人での鶏舞が舞われている。
さらに、本田安次は山伏神楽・番楽の中で、「(番楽の)鶏舞は考えようによっては一種の振鉾とすることもできよう。しかしもっと別の意味もこの舞にはあるらしい。雌雄の鳥が出て、次第次第に睦び合う様を仕組んでいる。この鶏舞と次の御神楽とは別曲に相違ないのであるが両者入り混じっている所がある、すなわち早池峰神楽でいう鶏舞は実はもと御神楽であったと思う。」と解説しているとおり、秋田の番楽の鶏舞は二羽の鳥が舞い遊ぶ様が描かれているのに対して早池峰神楽の鶏舞は痕跡は残しているが、洗練された舞となった分だけより一層象徴的な抽象舞となっていて、全体の感じも御神楽(場を清める祈祷舞)になっている。
まあいずれにしても、石鳩岡神楽さんにはどんどん若い人たちが神楽を受け継いでいる感じがして岳流の幹となる神楽らしい頼もしさを感じました。
動画でどうぞ。
