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2013.11.07 | Comments(1) | Trackback(0) | カテゴリ祭り

仙人講中苅揚の節句 と霜月神楽

今日は秋田県の保呂羽山波宇志別神社では霜月神楽が夜を徹して奉斎されます。
なので、それにもふれながら10月29日に見聞した祭について掲載します。

ここは秋田県横手市山内筏伯耆沢に鎮座する筏隊山神社(ばったいさんじんじゃ)です。
岩手県西和賀町湯田から峠を越えて横手市へ向かう国道107号線沿いにある筏地区にあります。
下の鳥居から山上の本殿まで300段程の石段を登っていきますが、これが結構きつい石段です。
そのため、平成12年に麓の社務所敷地内に遥拝殿を築造してご年配の方でもお参りができるようにしたとのこと。



この神事も本来はこの本殿で行っていたが、講中の方々の年齢が上がってきたので、下の社務所にて行うようになったということです。
昔は、大勢の参拝者で溢れ、梵天の奉納もあったということです。

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神社の由来について説明板から要約しますと
「筏隊山神社は古くから「筏の仙人さま」と称され、社家として奉仕する高橋家の先祖が伯耆国から鎌倉時代後期この地に移り住み無病息災を祈願して氏神として、奉斎したのが始まりと伝えられています。三河国(愛知県)の人菅江真澄が、文政8年(1825)この神社に参拝し「雪の出羽路」に次のように記してあります。「正中2年(1325)創建「阿羅羅仙人ノ社」、「仙人権現」と言い、陸奥国(岩手県)仙人峠から神々を遷座してものであろう。」と鮮やかな色彩の図絵を添え当時の様子を鮭禁忌の民間説話とともに記録しています。また天正年中(1573~92)横手城主小野寺遠江守が重い疱瘡に罹り平癒を祈願しその真心がかない全快、その奉賽に社領などの寄進があったとつたえられています。」とあります。

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本殿の内部には沢山の奉納された扁額などがあり、山の神信仰もあったような感じがします。

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仙人講の行事が大切にされていたことがよくわかります。

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これは、下の社務所ですが、本日はお苅揚の節句という講中行事のため広く開け放っています。
11時ごろに着きましたが、神事が始まるところでした。
社務所内部にはたくさんの講員の方々が詰めかけていました。

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社務所の向かって左手入り口には「仙人講」の名簿があり、受付をするようになっているということです。
神社の高橋さんに伺ったところ、講員は山内ばかりでなく、北は大曲から南は湯沢の方まで300番(1世帯1番)を数えるぐらい居るそうでしたが、近年は代参で数軒分を頼まれてくる人もおり、また講を離れる方もいるということでした。

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お苅揚げの節句なので、皆さんは収穫したばかりの米を献納しにきています。
私見ですが、戦前までは種籾の交換の場でもあったのかもしれません。
ちなみに江戸時代の秋田の様子を描いた「風俗問状答」九月の項にはこうあります。
「九日のせくの事
 農家にて、はつ節句とて餅つき、十九日を中のせくと云、二十九日を刈揚のせくと云て、餅つき祝うこと皆同じ」

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神事が始まり、宮司の修祓のあと、神楽奉斎となりました。
この日の神楽は六郷町の楽人が奉仕する霜月神楽でした。

同じ横手市の大森にある保呂羽山波宇志別神社で毎年11月7日から8日にかけて行われる霜月神楽は寄り合い神楽で、波宇志別神社の大友氏と関係のある近隣の神社の社人が集まって行う神楽です。
ですので、その構成員の方が頼まれて他の神社にも奉仕するということがあるそうです。

この日は、二番行われました。
最初は五調子で扇と鈴をもって緩やかに、厳かに場を祓い鎮めるかのような舞です。

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続いて神入舞です。
大小二振りの刀で、激しい祈祷舞が繰り出されます。

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神事が終わると、参拝者にお神酒が振る舞われます。
皆さん和やかに杯を傾けます。信仰の深さがみてとれます。

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社務所の外では地元の御婦人方が薪ストーブに大鍋で芋の子汁を煮ていました。
そうです!山内といえば芋の子が名物なのです。
なので、直会も芋の子汁が出されるのです。
「どうぞ食べでってけらい」と言っていただきましたが、食べそこねました。
紅葉に囲まれて、いい秋の一日を過ごすことができました。

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動画でどうぞ。

テーマ:お祭り&行事 - ジャンル:地域情報

2013.11.07 |

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祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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