沢辺神楽 法童丸父魂魄対面 @ 第9回神楽共演石越大会
本日は第9回神楽共演石越大会から沢辺神楽さんの法童丸父魂魄対面の場について
その前に沢辺神楽さんの由来を定本より
「昭和四九年一○月、斉藤憲雄が庭元となり、城生野神楽の熊谷勤師匠を招き部落の青年達に神楽の指導を行い、沢辺神楽を創設した。
※昭和四八年発刊の金成町史によれば、南部神楽の流れをくむ神楽が各地区に組織されていたが、昭和二○年前にほとんど絶えた。
昭和三八年、平形神楽が解散に及び完全に消滅した。
岩手県の大門神楽、飯倉神楽の流れをくむもの、有壁神楽、藤渡戸神楽、赤児神楽、畑神楽、岩崎神楽、大原木神楽。
城生野神楽の流れをくむもの、平形神楽、姉歯神楽、下沢辺神楽、小堤神楽であった。」
ということなそうです。現在の代表は佐藤忠一さんです。
さて、演目は昨日の法童丸庭園の場の続きになっています。
法然上人から父親の敦盛の墓所を教えられた法童丸が蓮生坊に連れられてやって来ます。
蓮生坊さん
法童丸くん
舞台は摂州生田の森にある敦盛の墓であるが、なんと沢辺神楽さんは墓石を準備してきました。
おまけに敦盛の烏帽子には三角布が、ちょっと怖いです。(烏帽子に額烏帽子をつけるって・・・)
ところでこの演目は敦盛の霊魂(魂魄)が現れるわけですが、能には夢幻能というジャンルがあり、シテ役がワキ役に対してある人物の昔語りをし、やがてその亡き人物は自分であると告げ消え去るという類のものです。
世阿弥が書いた「敦盛」では、蓮生坊が敦盛の霊を慰めようと一の谷にやってくると草刈り農夫が現れ笛を吹く。やがて農夫は敦盛の姿となって現れ、己の命を奪った蓮生坊だが、弔いの読経をしてもらって成仏するというストーリーになっています。
ここでは、法童丸がワキとして敦盛の相手となります。
旅の疲れで法童丸がうたた寝している間に敦盛が現れます。
(後ろの幕に映った影もまた不気味ですが)
敦盛は現世に残した法童丸を不憫に思い、和歌を読んで残します。
「何嘆く 生田卯波野の草枕 露と消えにし 我は思うぞ」
正に夢幻能の形式を踏襲していて大変素晴らしい台本だと思います。
動画でどうぞ。
