大平神楽 葛の葉子別れ
本日は大平神楽さんの葛の葉子別れについて
この演目は、浄瑠璃から取った仕組み神楽の代表的なものである。
安倍晴明の誕生譚をもとにしたもので芦屋道満大内鑑からきていると推測される。
奥浄瑠璃は東北地方に流布したものだが、それに先行すると思われる新潟地方の瞽女唄では、唄い出しがこうだ
「ものの哀れの始まりは 芦屋道満白狐 葛の葉子別れ物語~」
そして葛の葉姫の物語の内容は次のものだった。
葛の葉姫は狐の仮の姿だった。ある日、狐狩りの時に命を救われたことから葛の葉姫に化身し、命を救ってくれた男の子どもを産んでしまったが、自分は狐。やがてその子が5つになり、自分の化身が現れる時がきてしまう。子どもを置いて信太の森へ帰る母親の哀しみを歌った唄。戦時中は夫や息子を戦地へ送った婦人が咽び泣いたという。
葛の葉は歌一首を保名に残して去るのである
「恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」
保名は幼子のために今一度人間の姿を現せよと懇願するシーンでは狐面が象徴的に表されている
神楽における面の使い方は演劇史にも特筆すべきものがある
最後には葛の葉が一つ聞いたら百を知ることのできる宝珠を保名に託し、我が子を立派に育ててくれよと子別れする場面で終わる。
動画でどうぞ。
