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2013.01.08 | Comments(2) | Trackback(0) | カテゴリ祭り

おためし行事 (筒粥占い) 前半

昨日は暦では「人日」にあたる。人日とは年のはじめの占いをする日だとか。

そういう訳で、昨日は一関市藤沢町に鎮座する白澤神社に伝わる「おためし行事」を見に出かけた。その見聞記を2日に渡って書いてみます。
ところでここは、藤沢町の西部の西口地区である。西口というと流神楽の発祥地であるが誰も知らないということだった。

さて、この特殊神事というか民俗行事については「岩手の小正月行事調査報告書」P109に掲載されていますので、引用します。


藤沢町西口に奥州三十三番札所の一つ十八番札所の白澤観音(白澤神社)がある。
ここには450年前から伝わる「おためし」がある。
これは旧正月七日の夜中に行われるもので、粥占いによって一年間の作況を占う。稲作の作業過程を代掻きから収穫に至るまでの諸作業を行い、米五合を藁一束で粥に炊き、この中に竹に米、麦、稗、粟等と書いたものを入れ、竹筒に入る米粒の数によって今年の作物の作況を試すものである。
このおためしで吉と出れば更に大豊作になるように祈願し、凶と出ればその凶を祓い除くための厄祓いの祈願を行う。



とあります。きれいに表現すればこのとおりでしょう。

さて、肝心の粥はこのように米と鍋と塩が準備されて神事に供えます。宮司宅より真っ暗な山道を200m程歩いて進むと神社の境内にたどり着きます。



この神社はもともとは神仏混淆だったらしいが、今は分けてある。

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境内の中央に田の神様が設えてあり、その前に御幣と農具(マネゴトの)が置いてあった。

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祝詞奏上及び拝礼の神事のあと、粥鍋に塩と水を入れて粥を炊く準備をする。
この際に使う米であるが、昔は「オタメシ田」と決めた田からとれた米を使用したそうである。

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御灯明からうつした別火で藁に火を付けて木の炉で鍋を炊く。

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粥が煮えるまでの間に、境内で稲作のマネゴト(庭田植え)を行う。
厳かなというより和やかな行事といった感じだ。

このマネゴトの一部始終について事前に「白澤神社 御例口上」という台本を見せていただいたので記載する。

白澤神社 御例口上

金丁・参具・再拝 (三回)
敬って白す
平成二十五年 みづのと み

日の数 三百六十五  月の数 十二ヶ月

風 雨 順次
家内安全
五穀豊穣
交通安全
諸願成就

西口 三集落
無事繁栄を祈り奉る

「之より 藤沢町西口白澤神社
 おためし行事を執り行う」
先ず、田打ち初めを行う
次に 代かき セーヤレ セーヤレ
次は 種蒔き
   田植えの準備
    ※田植えの歌
草取り
世をへちえ ようよう へちえ
「年をへて 白髪 五色の 花や咲くらん」(三回)

 以上



氏子が手にしている竹はセーヤレ竹といい、農事のマネゴトをしながら「セーヤレセーヤレ=精を出せ」と掛け声を掛けることに由来している。

  田打ち

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  代掻き

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  種まき
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  田植唄
「今日は白澤神社の御田植え 神社の御田に鶴亀降りて 今年も豊作と舞い遊ぶ ヨイト ヨイト」

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  田植え

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  稲刈り

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  ハセ掛け

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  稲こきをして米ができると氏子たちが粥鍋に集まって粥炊きをする。

DSC03377.jpg

炊き上がったところで、お神酒をいただいて粥炊き神事が終了した。
このあと、粥鍋をもって宮司宅へ移動する。が、本当に真っ暗な中での神事でした。星空が大変綺麗でした。

DSC03395.jpg

この後は、いよいよ粥占いですが、その内容は明日にいたします。

テーマ:お祭り&行事 - ジャンル:地域情報

2013.01.08 |

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祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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