上町法印神楽 釣弓 前半
釣弓(ちきゅう)から前半部分を。
釣弓の演目は日本神話の海幸山幸の内容である。
天孫邇邇藝命の妻である木花咲耶姫が御室焼の中で産んだ火遠理命と彦火火出見尊の兄弟の話であるが、この後の産屋まで続く壮大なオデッセイとなっている。
最初にセメ面の火遠理命が登場し、次いで若人面の彦火火出見尊が弓矢をかついて登場する。
お互いの採り物を違えて狩りに出かけようと図る。
ところが、火遠理命が弓矢を四方に射ても獣は一匹も得ることが出来ず、腹立たしく帰る。
(弓矢御神楽のような舞になり、とど八幡舞のごとく弓を天上に射る所作がある)
彦火火出見尊も海に釣り糸を垂れるも魚を釣ること能わず、魚に釣り針を取られて帰る始末。
(途中で釣竿を持ちながらびっこを引く所作がある。これは三番叟(蛭児)とのつながりがあるものと思える)
兄に返す釣り針もなく途方にくれる彦火火出見尊。
やがて兄に対面し、剣を叩いて作った釣り針で勘弁をと懇願するが許しを得ることが出来ず、浜辺を逡巡する。
そこへ鹽土老翁が通りかかり、事の次第を聞いてさればワダツミの国においでませと誘う。
釣弓から産屋までを通しで上演する機会は稀になってきているので、このような夜神楽の場でしかすっかりと見ることがなくなっている。南部神楽でも同じ演目が伝承されていて、これを2~3幕に分けて行なっている。
竜宮城へ着いた彦火火出見尊の前で所作をする海女。
彦火火出見尊の姿に気がつくと・・・・続きは明日に。
動画でどうぞ。
