円万寺神楽 三番
さて、今日は円万寺神楽さんの三番叟を。
円万寺神楽の由来を「奥州南部神楽史料集(東日本ハウス本)」より抜粋する
円万寺神楽は、円万寺修験別当一乗院(のちに一定院、一条院等と称す)が管掌してきたもので、慶長年間、稗和二郡の領主となった花巻城主北松斉が円万寺神楽を取立てたとの伝承が語られ、その由緒の古さを伝えている。
当時より別当一乗院は羽黒派に属し、旦那場は円万寺村四十九戸ほどであったが、古例としての春祈祷の神楽巡廻は他村まで及んでいたことは、盛時の遺習として行われたらしく、このため他村の霞主と争克を生じたことが伝えられている。
円万寺神楽は、その芸能的特徴として大迫町の大償神楽と同じく七拍子といいい舞振りが比較的ゆるやかで優雅であるが、舞の構成、舞法等を異にし古態な芸風を有するところに、この地方では特色ある山伏神楽として注目されてきた。式三番に、早池峯神楽等では既に見られなくなった千歳の曲を伝承してきたこともその例証といえる。
とあります。
花巻市の湯口にある円万寺観音に付属した神楽であるが、明治の神仏分離令以後は八坂神社に奉納する神楽となっている。ちなみに神楽幕には八坂神社らしく木瓜紋が入り、素戔嗚尊の神紋を表している。
円万寺神楽の式舞は千歳、翁、三番、山ノ神、八幡、岩戸開きとなっているようです。
早池峰系の神楽であることは間違いないが、より修験色が濃く残っている感じである。
この三番叟でも左手に閉扇、右手に錫杖を持ち、手にはクジが結ばれている。

幕出しの歌は
「よしのの よしのの 鶴と亀との戯れて、幸いこれたてまいらせたまい」

動画でどうぞ。
