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2012.07.07 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ祭り

陸前高田 けんか七夕

今日は岩手県下の仲間の集まる会に出席し、懇親会では沿岸部の仲間と四方山話に花が咲いた。
被災地も色々である。

というわけで今日は七夕でもあるので、この話題で書く。

手元に昭和12年初版の仙台鉄道局編纂 日本旅行協会発行の古書「増補 東北の民俗」という本がある。
主に東北の祭礼行事や民俗習慣を東北の鉄道各駅が取材したものをまとめた本で、現在では行われなくなった祭礼行事の詳細がレポートされていて興味深い1冊である。

その中から「喧嘩七夕」大船渡線 陸前高田駅 を以下に転載する。(本文は旧仮名遣いであるものを一部手直しした)(画像は祭りの追っかけが平成13年に撮影したもの)

昔から伝わる気仙行事は山車を中心とする。
山車の四ツ車は直径一尺七、八寸、太い樫の木を繰り抜いた原始的なもの、その上に台があり、台の上に土俵を六、七俵積む。

けんか七夕13

土俵の上には木枠を立てる。木枠は七、八尺の立方体である。
台の上にだんだら幕を張り、前と後ろとを絞り上げ囃子方六、七人が乗る。
昔は簾を垂れ、冠木門を掲げ左右に屋根を張ったという。
台の真ん中には長い葉竹が立ち、これに五色の吹流し、短冊が吊り下げられる。
篠竹や細い割竹で屋根を包むようバレン形に作る。これに薄紙の花をさげる。

けんか七夕14

こうした準備はひと月も前から町の子供達でなされ、葉竹の割り方や篠竹の選び方、花の折り方染め方など、すべて兄から弟への口伝が習わしとなった。
旧七月七夕の日は、家々では竹を立て屋根を飾る。みんなお寺参りをする。
きれいに飾られた山車は引き出される。
女の子供らは拍子木をたたき、男たちの山車を引く二条の太いロープの間にあって「ヨーイヨーイ」と叫ぶ。
「引けえ」と叫んで引き出せば、山車の廻りの人達が「ヨーイヨーイ」と叫んで歩き出す。
囃子方は太鼓、笛を鳴らす。

けんか七夕15-L

夜になれば本格的な喧嘩七夕となる。
鉄砲町組、仲町組、八日町組、荒町組いづれも山車の装飾を取り除き四寸ぐらいの丸太幾本も屋台車の周囲に藤蔓で堅く締める。
女子供を去らせて太鼓なども粗末なものに変える。

けんか七夕16


そして町々を引き回し、出会うと車と車を正面衝突させて双方が力いっぱいに太綱を引く。屋台を押す。
双方の力が互角で白熱化すると屋台車は前輪を宙に浮かせて立ち上げる。
それを倒すまいとして丸太や角材などを使って支え、殺気立ってくる。
はては喧嘩となる。
これを遠くで眺める女子どもは「八日町勝った荒町負けた」などと囃したてる。
喧嘩七夕も今は気仙町内だけにとどまっているが、昔は姉歯橋を渡り高田町に押しかけ、今泉街道の真ん中で血を見る大喧嘩をしたとのことである。

けんか七夕19

以上が「増補 東北の民俗」に掲載された全文である。

この祭りも大津波による被害が甚大で、昨年は何とか再生させた1台の山車で祭りを行ったが、「1台では喧嘩になんねべ」というため息も聞こえた。
そして今年は沢山の支援を受けて2台の山車による喧嘩七夕が復活する。

みなさん!高田は食事も買い物をする場所もできました。是非お祭りにおいで下さい!!!

昨年度の金剛寺境内での復興祭りです。動画でどうぞ。




場所はここです。


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テーマ:お祭り&行事 - ジャンル:地域情報

2012.07.07 |

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祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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