赤谷神楽 屋島合戦 後半戦
赤谷神楽さんの屋島合戦である。
後半は手負いの継信が行方知れずになったため、屋島の戦場を弟の忠信が敵味方の屍を探りながら訪ねるという場面。
名人のコワに聴き惚れるが、この場面は勝ち戦の中でも哀愁ただよう場面である。
能楽のことであるが、神楽の武者物にあたるものに「修羅物」がある。
そして修羅者には「勝ち修羅」と「負け修羅」とあり、能楽の屋島は勝ち修羅となっている。
義経の勇猛果敢な戦いぶりで源氏方が勝利したわけだが、源氏方は重臣の継信が管矢に討たれて命を落とし、平家方は教経の寵臣菊王丸を忠信に斬られて沖の彼方へと軍を引く。
後には松風の音と浜に打ち寄せる波音だけが残るという無常の世界を描いている。
ちなみに勝修羅とはシテ側が勝ち戦となるものをいい、負修羅はシテ側が敗軍になるもの。
勝修羅の演目は『田村』『箙(えびら)』『八島』の三つのみ、
負修羅は『朝長』『実盛』『頼政』『忠度』『俊成忠度』『清経』『通盛』『敦盛』『生田敦盛』『友章』『経政』『兼平』『巴』と圧倒的に多い。
判官贔屓という言葉もあるが、我々の祖先は不遇な身の上の人や弱い者に同情したり応援することが多かったのは己自身が弱者(為政者に対して)であったからかもしれない。
動画でどうぞ。
