社日ということ
家人が風邪をひいて寝込んだり何やらでブログ更新が途切れてしまったが気を取り直して再開。
3月18日は暦の上では「社日」である。
東北地方では余り馴染みのない行事であるが、歳時記には次のように記してある
社日とは、春分秋分に最も近い戊(つちのえ)の日であり、神社に詣でて、春社には五穀の豊穣を祈り、秋社にはその成熟を感謝する。 と
社日の意義付けは中国からの伝来で「社」は土地神を祭る祭壇を表し、社日はその土地神の祭日を意味する。
ちなみに国家を意味する社稷という言葉は土地の守り神である社と穀物の神を祭る祭壇を意味する稷を総称する語である。
また、地神を意味する戊の祭日であることから土に関する禁忌も全国的に見られ、この日に畑に鍬を入れることや地工作をするなとかの決まりごとが多く見られる。
しかし、土に関することなので多くは農事に関する言い伝えが多く、土地神から農神へと変遷していったことがみえるという。
折しも、春秋の社日は春分秋分と重なり稲作の初めと終わりに当てはめて祭礼が発生したことが想像できる。
そういった意味合いで、宮城県の金成地方では春社日には種が天から下り、秋には天に上ると伝えているそうだ。
つまり、社日の神は地神ではなく農神であり田の神であるのだ。
ですので、東北地方では田の神は春に山から降りて田をめぐり無事に田植えが済むように守護をし、秋には豊穣なる収穫を確認すると山へと帰るのである。
その姿を描いたものに早池峰神楽の山の神舞がある。
大償神楽の山の神舞では、最初の幕出しでは山の神は白い千早を纏って雪を抱いた山の神を表現し、夏の田表をめぐる様は青い襦袢で生き生きと舞いを繰り出す。
社日と農神去来はこのように習合して民間の篤い信仰に結びついてきたのだろうと思われる。
大償神楽の山の神舞 動画でどうぞ。
