小沼鹿踊り 一人狂い
本日は大原水かけ祭りに出演の小沼鹿踊りについて
もしかすると初見かもしれない。
行山流を意識して見るようになってからは特に東磐井の行山踊りについて刮目しているわけであるが、この小沼鹿踊りも頗る豪壮な踊りであることに驚嘆している。(見入ってしまって写真を撮り忘れていたくらい)
この山口派の鹿踊りは山城国の山口城の郷士が大原八幡堂に定住し、仏前供養のために始めたものであろうと。
また、小沼鹿踊りに伝わる文書には
行山をとりの事
一、く屋うの御紋
二、菊の御紋
三、かに牡丹の御紋
四、とりげまいかけ
右の通御紋おはいりやうの事
東山大原村山口屋敷
又助
安永弐巳午年八月八日
とあり、1773年に伊達家より紋章使用の許可を受けたとある。
また、別の文書に
御詠歌ならひに
ご紋の儀は中立ちに限るべし
垣躍は九曜の星を附くべし
其外伝執心によりて会伝授申候
このことより、流しに御詠歌を入れるのは中立ちと雌鹿のみとなっている。
中立ちの流しには
「陸奥の信夫牡鹿乃牝鹿の里 声を揃ひて遊ぶしかかも」
雌鹿のは
「秋萩をしからみふせて鳴鹿の めにはみへずとおとのさやけさ」
となる。
頭は小ぶりだが、ザイが長いのと中立ちのみ毛色に白が混じっているのが特徴か。
喉印は中立ち雌鹿のみ井桁で側鹿(垣躍)は中に九曜紋が入る。
前幕の左右の上方には日の丸扇、下には菊と波に兎。
袴の紋は中立ち雌鹿が束ね熨斗紋で他は蟹牡丹と定紋となっている。
また、ササラの根元には五行の布が結ばれ、先には鳥毛がつけてある。
中立ちの角にだけ紙と水引が結ばれているのが印象的である。
一人狂いであるが、庭めぐりしながらササラを切る中でササラを返す仕種がある。(下の動画で8’45ぐらい)
鋭く相手を威嚇する様に見える。
また、足捌きの細かさも特徴的だ。
動画でどうぞ。
