黒石寺蘇民祭に寄せて 1
今日は旧正月の2日にあたる。
秋田県の幕末の風俗を伝える書に「風俗問状答」というものがある。詳しくは後日述べたいが、その中から元旦の項を抽出してみる。
「蘇民将来の札の事
仙北郡北浦の庄にては、蘇民将来子孫門戸と紙に押したるを、修験者の配り来るを戸外に出す事の候。 略 」
とある。
特に東北地方に多い牛頭天王信仰に関わる蘇民伝説の行事が多く行われるのがこの旧正月のころとなる。
で、水沢のことであるが、黒石寺の祭りは正月7日から8日にかけて行われる。
7日は妙見さんのお祭りで、8日はお薬師さんのお祭りとなっている。
一見すると一つの祭りのようであるが、実に様々な要素が複雑に絡み合った祭りなのである。
その中から、「鬼子登り」について、(画像は平成20年・・・騒動のあった年に行った時のもの)
鬼子は7歳男児が鬼子装束をつけておぶわれて内陣に入る(昔は堂内で装束を身につけたそうだが)
これは、死を意味するそうだ。
そのあとで、拝殿では松松明二把と一把が重ねられて火が付けられる。これは生殖行為を表し、生命の誕生を意味する。この松明の上を鬼子が三回回ることによって死からの再生を象徴しているというのである。
三回回った鬼子が内陣に入ると蘇民曳きが始まるわけである。
