大黒天と二又大根
という訳で、昨日に引き続き二又大根のことである。
「おらほのしきたり 一関市老松公民館篇」より
12月20日は大根のお嫁迎えとしてこんな話があると紹介しているエピソード
「ある時、大黒様が旅の途中で餅をご馳走になり、胸焼けを起こして苦しんでいた。近くで大根を洗っていた女中に「その大根を一本恵んでくれ」と頼んだ。すると女中曰く「この大根はご主人様から預かったもので数を減らす訳にはま参りません」… しかし、「マッカ大根なら片っ方を欠いて数には変わり有りますまい」と言うことで女中は欠いた方の大根を大黒様に差し出した。大黒様は大変喜んでその大根を食べたところ胸やけが治まった。それが12月20日の事だったという。この事がご縁で大黒様はこの女中と夫婦になったと言うことである。餅料理に大根おろしが付くのはこのためだとか。」
で、一関地方では五升枡に炒り豆一合と主人の財布、マッカ大根を入れて大黒様に供え「おん大黒様、耳開けてよぐ聞け、この家に悪難病難の眼がでないように、福徳円満でお金がザングザングと貯まるよに」などと唱えそうだ。
ここで五升枡に大根とともに入れる「主人の財布」は昨日書いた聖天様に供える「お団」の巾着と同根の呪法に思える。大黒様を福徳神とするのにお聖天様でも大根と巾着を供えることに習合したかのよう。
ちなみに水沢地方では大黒さんの女迎え(めむけぁ)の日とし、「キンカ大黒耳開けろ」と唱えて枡の豆を揺らして供えたということらしい。(日本の民俗岩手より)
