2017.04.05 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ民俗

上平沢子ども百万遍 春彼岸巡行

さて本日は、昨日ブログで紹介しました上平沢権現舞と同じ彼岸の中日に、同じ場所で行われた子供たちによる百万遍についてです。

百万遍とは、百万遍念仏で、死者や先祖の供養等のために、導師の音頭に合わせて大勢で念仏を唱えながら大数珠を回す振興行事のこと。緒元は京都の知恩院で八世善阿が疫病の平癒鎮護祈願のため百万回の念仏を唱えたことに始まるということです。
これが全国に広く普及し、特にも浄土宗等の寺院を中心に伝播していった。

岩手県南部では、この金ケ崎の他には江刺田原の下醍醐や北上市岩崎、奥州市衣川等で子どもたちによる百万遍が現在も行われている。

時期的には二月八日と十一月八日(コト八日)や、彼岸などに行われている。
「岩手民間信仰事典」によれば、この地方は隠し念仏が浸透してきたために死者供養時には百万遍ではなく「念仏申し」をするようになり、故に百万遍は子供たちが代わりに行うようになったということです。

思うに、最初は念仏供養をして歩く行事だったが、子供たちが門付けにくるものだから、家々では菓子や小銭をお布施として出すものだから、次第に稼取りのようになってきたものと推量される。

この日も子供たちが集まった公民館では慰労のお菓子が山ほど準備されていました。

閑話休題

さて、子ども百万遍の支度は、権現舞の皆さんと一緒に上平沢公民館で整え、いよいよ出発です。
道中は鉦付き係が鉦を叩きながら進みます。
昔は子供たちだけで廻ったということでしたが、今は安全面にも配慮して大人がついて行きます。
というより、現在は子供会(児童館)行事となっているようです。



この日は一日掛けて百軒ほど廻るということでした。

民家の庭に入り込むと、大きな数珠を子供たちが「ナンマイダー」と唱えながら三回ほど回します。

S1110002.jpg

最後は、お札の係が家人に札を差し出し、代わりに御礼を頂戴します。

IMG_2266.jpg

御札はこれです。
時宗の念仏賦算のような感じです。

昔は、意味もよくわからない子供たちが、云われるままに念仏と唱えてあるくと大人たちに感謝され、誉めれられて南無阿弥陀仏と唱えることの大事さを理解するとともに、社会の一員として人の役に立つ喜びをこういった行事からも学び取ってきたように思う。
現代社会では、こういった民俗行事以前に地域コミュニティや隣同士すら付き合いの薄い現状となっている。
ましてや子供たちが社会の一員として何かをするということも皆無になってきている。

そんな中で、今回の上平沢地区の権現舞も百万遍も大変有意義な取り組みをしていることと賞賛したいと思います。

IMG_2269.jpg

動画でどうぞ。


テーマ:伝統芸能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2017.04.05 |

2017.01.15 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ民俗

小正月行事 「田植っこ」と「生りもの」

さて本日は暦の上では小正月です。
15日は旧暦(太陰暦)では望月にあたるので、明治以前はこの日を正月としていましたが、現在は1月1日の大正月に対して小正月という呼称になりました。

さらにいうと、以前は「成人の日」でもあり、国民の休日で全国的に成人式が執り行われていたものです。
1月15日が成人の日となったのは、明治以前に大人になる元服式をこの日に行っていたことからということです。

しかしながら、昨今はハッピーマンデー法という悪法のために、わけの分からない日に設定されてしまい、混乱の極みとなっています。

・・・といった小言は置いておき、小正月行事風景といきます。

所用で北上市へ出かけたので、小正月行事を思い出して二子町へ立ち寄りました。

鳥喰自治会の皆さんが、毎年地域行事として取り組んでいる小正月行事です。

お立て木が飾られ、その向こうに稲苗に見立てた藁で田植がなされています。

毎年第二日曜日の9時から、集落の老若男女が集まって、昔ながらの小正月行事を再現する行事を行っているということです。




そして、これは「生りもの」と称して、瓢箪や藁で作ったきゅうり、かぼちゃ、ゆうがお等を吊るして五穀豊穣の予祝をします。

2017011513310001.jpg

そして、会館の中ではミズキ団子を飾ってご馳走を供食して楽しみます。

2017011513310000.jpg

今となっては、こうした自治会等の取り組みがなければ絶えてしまいそうな小正月行事の数々ですが、かつて岩手県でおこなわれていた小正月行事について昭和59年に岩手県教育委員会が刊行した「岩手の小正月行事調査報告書」に詳しく書かれています。


その中から、北上市口内町収録の「田植っこ」について抜書きします

「隣近所の子どもたちが何人か揃って、近くの家を廻って歩く。
夕食後「田植に来たんちゃ」と言ってその家に声をかける
そして庭先の雪の上に(家によっては、四角に縄をめぐらして田のように作っておく所もある)
藁の苗を5~6本挿して田植の手伝いをしたつもりで、終わると家の中に入って餅や菓子などをふるまわれ、お金も若干もらって次の家に行く。
この時、帰り際に自分たちの植えた田の鳥をホーホーと手を叩いて追い散らして帰る。」

ということです。


2017011518230000.jpg

テーマ:伝統芸能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2017.01.15 |

2016.04.17 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ民俗

津波と地震 諸事災厄を鎮まり給うことを願ふ

このところ、熊本県下で群発している強大な地震がうち続き、倒壊した建物の下敷きになるなどして尊命を亡くした方々がいることに心を悼めますとともに、一日も早く平穏な生活が戻ることを祈念してやみません。
とはいえ、明日は九州地方は雨が降るということでさらに心配されます。

さて、本日は休みが取れましたので、宮城県名取市の神楽を見に行こうと出掛けました。

その途中で、かねてより訪問したかった所に行くことができました。
仙台市若林区の海岸部にある深沼海岸の堤防内側に震災後建立された観音像です。



荒浜地区は震災前には地域の皆さんが生活していた場所。
震災後には、ここを追悼の場所として地域住民のみならず全国から追悼に訪れる人々の祈りの場となっている。
津波犠牲者190人の名を刻む犠牲者の石碑です。

IMG_3129.jpg

視線を内陸側に向けると、被災したままの風景しか見えません。

IMG_3131.jpg

小さな社ですが、5年経っても未だにこの状態。
防潮堤工事とかさ上げ工事の進捗状況が思わしくないからということでした。

IMG_3134_20160417192835112.jpg


荒浜地区住民の皆さんによる里海を取り戻す活動が行われているということです。

IMG_3135.jpg

さて、荒浜での見学を終えて貞山堀沿いに南下して名取市の閖上浜を目指しました。
主目的は、大正時代に建立された日和山鎮座の閖上湊神社と富主姫神社への参拝です。

IMG_3137_20160417193043ec6.jpg

この神社は、江戸時代に海上交易をしていた商人が危ういところで助かった礼にこの地へ神様を勧請したことに始まります。
この神社のある位置は、まわりより少し小高い位置にありますが、これは大正9年に地元の在郷軍人分会が築山を造山して神社を勧請したということです。

IMG_3139.jpg

先の震災による津波によって、小高い築山の山頂にあった社殿も流失し、今は再建された仮宮がありますが、本設の社殿復興をめざしているということです。

IMG_3141.jpg

富主姫神社の祭神は、市杵島姫命とされ、初めは富主島(閖上三丁目付近)に鎮座したためこの社名になったということで、海神であり商いの神様で、地元閖上地区の崇敬も篤かったことと思われます。
一日も早い復興を願いながら、閖上の朝市まで足を伸ばしたが、あまりの強風と雨のため早々に移動しました。
ということで、明日からは名取の熊野堂神楽見聞記となります。

IMG_3367.jpg

テーマ:神社 - ジャンル:学問・文化・芸術

2016.04.17 |

2016.03.12 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ民俗

牛博de民俗芸能・・・動物たち?

さて、本日は奥州市前沢区にあります奥州市牛の博物館で開催されております「民俗芸能の動物たち」という企画展の宣伝です。

詳しくは、牛の博物館公式HPを御覧ください ⇒http://www.isop.ne.jp/atrui/mhaku.html

牛の博物館は、合併以前の旧前沢町時代に「前沢牛」を全国に轟かせたことから「牛」をテーマにした全国的にも珍しい博物館です。牛に関する古今東西の文物が蒐集されており、最近は厩猿に関する研究も進めていて民俗学的にも重要度を増しています。

そんな牛の博物館ですが、この度学芸員の森本さんが孤軍奮闘して胆沢地方の民俗芸能の装束等から動物をモチーフにした物をピックアップして検証しようという興味深い展示を企画しました。(大拍手!)



胆沢・江刺地方は、伊達・南部藩領の境目であるとともに沿岸部との交易や北上川の水運を通して様々な文化のクロスポイントでもあります。
そのため、同じ系統の民俗芸能でも多様な芸態が見られるとともに、装束もまた多彩です。
今回の企画展では、その点にも着目し、比較民俗学的な視点で陳列してあるのが特徴です。
これは、できうることなら奥州市内の何処かの施設に常設して欲しいと願います。
民俗学や民俗芸能研究にとってはとても貴重な財産です!
と熱く語ったところで展示を見てみます。


最初にあるのは江刺区内の早池峰系山伏神楽団体の鳥兜です。
胆沢江刺地方は神楽の坩堝で、山伏神楽系や法印神楽系とその両方から影響を受けた南部神楽が併存しています。
ですので、鳥兜ひとつとってしても各々特徴がありますが、今回は山伏神楽系の鳥兜が展示してありました。
鳥兜の意匠は直接手書きのものが多いのですが、これらは押し絵で描かれています。

12802804_805481239556092_7377386451970213697_n.jpg

次は太鼓系鹿踊の装束です。
左から行山流、金津流と右端は行山流でも異端的な特徴がある行山流久田鹿踊のものです。
頭から背中に掛けているのは「流し」という装束ですが、武者絵であったり六字名号であったり、華鬘結びが有ったり無かったりと多彩です。
鹿踊ですので春日大社に因んで鹿や紅葉が描かれていることも多いですね。

12509388_805481342889415_3506491458147907705_n.jpg

続いては獅子舞です。

左から、瀬台野神楽の悪魔祓いの獅子、黒田助の獅子舞、江刺区梁川の中田太神楽の獅子舞です。

今回は、山伏神楽系の権現様は展示されませんでしたが、獅子舞も様々なバリエーションがあります。
瀬台野神楽の悪魔祓いでは小正月に猿田彦を先頭に刀祓いと獅子舞が部落内の家々を門付けして獅子舞で悪魔を祓い、家内安全の札を配る行事がありました。この際に使われる獅子頭は明治初頭のものです。

黒田助の獅子舞も瀬台野とほぼ同様で、獅子に対して厄を祓う太刀切りという役が付く羽黒修験の影響を受けたと思われる形態が伝承されています。

12814121_805481382889411_343568388085932424_n.jpg

それから、この神楽面は私も初見ですが、奥州市前沢区にある旧五代院所蔵の神楽面です。
実はこれらの神楽面は奥州市では最古かもしれないのですが、この神社に付属する神楽がとうの昔に消滅しているため、この神楽面の存在すら適用外となっていたものです。
あの橋本先生が急急如律令でこれを調べよと言ったことを思い出しますが。その後奥州市教育委員会はどうしたのでしょうか?

この面は明らかに法印神楽の神楽面なのですが、奥州市教育委員会文化財担当のご精励を望む!

12804681_805481486222734_340602728978956046_n.jpg


場所はここです。

テーマ:伝統芸能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2016.03.12 |

2016.03.11 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ民俗

3.11 5年目に寄せて

今日は3月11日。春彼岸までもうすぐで、春風を感じる季節ではある。

しかしながら、今から五年前の今日、東日本・・・宮城県牡鹿半島沖合を震源地とする巨大地震と、それに伴う未曾有の大津波が東北の人々の日常を一変させました。

今日も、2時46分に市役所のサイレンを聞き、黙祷を捧げながらあの日の行動を反芻している。

電気が全てシャットダウンした中で、電池式のラジオがあったことを思い出し、電池をセットしてラジオをつけると臨時ニュース「三陸沿岸部では10mの津波が・・・」 それを聞いて、自分が過去にいた沿岸部を思い出し、10mの津波ではひとたまりもないと直感したことを思い出す。

閑話休題

小正月から春彼岸にかけて、奥州市の各地では、念仏供養の行事が盛んだ。

これは奥州市衣川区に伝承される「北股の念仏」である。
本来は、信徒たちが家々を巡って経文を読み上げて、その代償として絵図に残したものです。


これは近年まで途絶えていたものを復活させたということ

IMG_20160222_0001 (1)

次が一関市赤荻地区の百万遍です。


IMG_20160311_0001.jpg

このように、百万遍というのは、様々な講中等の方途があったことと思いますが、願うことはひとつ!「命の永らえ」であり、さらにできれば現世利益の長きことを願う経文だと思います。

2016.03.11 |

«  | ホーム |  »

プロフィール

祭りの追っかけ

Author:祭りの追っかけ
祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -